井倉洞にまつわる「阿里佐」の悲恋ものがたり

 井倉洞前の清流高梁川の深淵を「阿里佐淵」と称しますが、この阿里佐淵については、悲しい恋の伝説が残っています。 

 今より約400年のむかし、この里に茂作と阿里佐の清く美しい恋物語がありました。
 話題に乏しい山間の人々の祝福を受けて「ヤマトレンギョウ」の花咲くこの土地で、二人の恋は花とともにこの岸辺に咲きました。

 こうした平穏なある日、備中高梁の松山城から「鶴姫」がこの里を訪れました。
 この鶴姫は松山城主、三村家親の息女で、絶世の美貌と誉が高く、その噂は遠く中国にまで知られていました。

 鶴姫の姿を見た茂作は、里の乙女と異なって品のある鶴姫の気高い美しさに心奪われ、鶴姫を妻にできると夢を追い、阿里佐を捨てて鶴姫を追いかけていずこともなくこの里を去ってしまいました。

 茂作との思い出の岸辺に誰一人還らぬ人を待つ阿里佐の悲しき姿は里人たちの涙をさそいました。

 長かった冬が過ぎ、山間の里に再び「ヤマトレンギョウ」の花咲く春が廻ってきましたが、阿里佐に心の春はおとずれず、茂作の面影を偲びつつ、ついに船隠しの淵に身を投じたのです。

 その後、誰言うとなく、この淵を「阿里佐淵」と呼び、里人たちは岸辺に祠を設けて、その御霊をなぐさめました。

 阿里佐の御霊は縁結びの神、また悲恋をなくする恋の神様として今もカップルの守り神となり井倉洞の鍾乳洞出口の「阿里佐の宮」にまつられています。
「阿里佐の宮」
縁結びの神様として若い人たちの信仰を集めています。
 
「ヤマトレンギョウ」
井倉洞附近の石灰岩質の険しい断崖にしか成長しない珍しい潅木。見頃は4月。
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